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最高裁判所第一小法廷 昭和31年(あ)1161号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人武川万寿三の弁護人長谷川寧の上告趣意第一点は、違憲をいうが、その実質は、単なる訴訟法違反の主張であり(控訴趣意書を控訴申立をした検察庁の検察官が作成し、これを控訴裁判所に対応する検察庁の検察官が同裁判所に提出することは、少しも訴訟法に反しない旨の大法廷判決、判例集九巻八号一一八九頁以下ことに一二〇六頁参照。)、同第二点は、違憲をいうが、その実質は、単なる法令違反の主張であり(原判決がたばこ専売法七五条二項の追徴額をその物件の客観的に適正な価額を意味するものと解したのは正当であり、また、本件外国たばこの単価は各種同一であるから、所論のごとく各銘柄につき数量を確定する必要があるものとは認められない。)、同第三点は、量刑不当の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

被告人酒井誠、同姜明喜の弁護人深町良平の上告趣意第一点は、単なる訴訟法違反の主張であり(所論被告人武川の手記は、第一審で各被告人がこれを証拠とすることに同意し、且つ、被告人等は第一審公判で本件公訴事実を全部認めている。)同第二点ないし第五点は、単なる法令違反の主張に帰し(原判決がたばこ専売法七五条一項所定の物件を他に譲り渡した事実ある以上、その物件の価額を追徴しなければならないものと解したこと並びに同条二項の追徴額をその物件の客観的に適正な価額と解したことは正当である。次に、原判決が没収した煙草の価格を重ねて追徴した事実は認められない。また、共犯者は追徴につき各自連帯合同の責を負担するがその一人がその全額を納付したときは、他の者が納付の責を免れること論をまたない。)、同第六点は、量刑不当の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

また、記録を調べても本件につき同四一一条一号ないし三号を適用すべきものとは認められない。

よって、同四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 真野毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎)

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